三献の儀・金沢漆器・蒔絵図柄について

三献(さんこん)の儀と金沢漆器・蒔絵図柄について

本来「三献の儀」は、出陣や帰陣、祝言などの際の献杯の礼を示します。打ちあわび、勝ち栗、昆布の三品を肴に酒を三度ずつ飲み干すもので、室町時代より武士の出陣や婚礼、接待宴席などで重要儀式とされました。特に出陣での三献では、三献目の盃を飲み干した後にそれを地面に打ち付けて割り、大将が鬨(とき)の声を挙げて陣営を鼓舞するものでした。それが現在、結婚式で行われる三三九度の原点とされます。

三献の儀は、まず大中小の三重ねの盃のうち、新郎が小盃(一の杯)を両手で取り、御神酒を三度に分けて注いでもらいます。新郎はそれを一口目・二口目は口を付けるだけとして、三口目に飲み干します。その後、新婦も同様の手順で行います。中盃(二の杯)は新婦が両手で取り、小盃と同様に三度に分けて注いだお神酒を三度に分けて飲み、その後新郎も同様の手順を行います。最後は新郎が大盃(三の杯)を両手で取り、小盃と同じように新郎、新婦の順番で行います。お酒が飲めない人は、飲むまねだけで構いません。このように、何回も新郎と新婦が盃を重ねることによって固い縁を結ぶとの意味が込められています。

この回数は古代中国の影響を受けたもので、古来奇数である三は縁起の良い数字(陽数)とされてきました。それを三回繰り返してよりおめでたい数字である九にすることで、最高のおめでたさを表したものとされています。
本来は、小盃を新郎・新婦・新郎の順で飲み、中盃を新婦・新郎・新婦と飲み、最後に大盃を新郎・新婦・新郎の順で飲むのが正式な作法とされ、これが三つの盃を三献ずつで合計九献と三三九度の語源であります。しかし、現在では一般の神前結婚式でこの正式な作法がなされることはほとんどなくなってしまいました。新郎と新婦がそれぞれの盃で一回ずつ飲む作法は、「三献の儀」や「誓盃の儀」が正式名称ですが、昔からこれを「三三九度」と言い習わしています。

また、小盃は過去を表し、新郎新婦の巡り合わせを先祖に感謝する意味が込められています。中盃は現在を表し、二人で末永く力を合わせ生きていくとの意味が込められている。大盃は未来を表し、一家の安泰と子孫繁栄の願いを込めています。また、三つの盃がそれぞれ天・地・人を表しているとの説もあります。

三献の儀で使う盃ですが、昔は漆塗りが主流でした。その中でも「金沢」の漆塗りの物は歴史があり高級品として親しまれてきました。では次に金沢漆器、継いで蒔絵図柄についてご紹介いたします。

金沢漆器の概要

1.歴史

江戸時代、加賀藩は百万石の外様大名であり徳川幕府からは常に謀反を警戒されていました。そうした疑心の目をそらすためにもその財力を文化面に投入する平和政策がとられました。当時桃山文化を身につけていた歴代藩主の中でも特に3代藩主前田利常は美術工芸を愛好し、「加賀藩御細工所」を整備し積極的に名工を招き工芸品の制作にあたらせその振興に力を注ぎました。

その中で金沢漆器は寛永年間、蒔絵のあらゆる技法が完成された桃山時代に名工として足利義政に仕えた五十嵐信斎の孫である五十嵐道甫が京都から招かれ、蒔絵の技法を伝えたことに始まりました。後に彼は京都に帰り没しましたが、その跡を継ぎ2代道甫居三郎が来藩し、以来五十嵐家は代々藩主に仕え門人の指導にあたりました。
また道甫の門人といわれる清水九兵衛と茶道具、印籠の名工であった椎原市太夫が何れも江戸から招かれて当地に移住し、秀作に腕を競うとともに子弟の育成に尽し加賀蒔絵の基礎を作るのに大きな事跡を残しました。また蒔絵と共に塗りの技術も導入開発され、今日金沢漆器の変わり塗りの豊富さは広く知られています。

2.特徴

全国の多くの漆器が庶民の生活道具から生まれた漆芸であるのに対し、歴代藩主の文化政策によって確立された金沢漆器は室内調度品やお茶道具の製作を中心とし、京都の貴族文化の優美さに武家文化の力強さが加わった特有の漆工芸となりました。
金沢漆器は数ある漆器産地の中でも、隅・角のすっきりとした薄手でシャープな品物に高度で華麗な蒔絵(加賀蒔絵)によって美術品としての価値が高く評価されています。

※ 各産地の主な製品の例
・金沢漆器・・・・・・ 室内調度品、茶道具
・輪島塗・・・・・・・ 汁器、装飾品、家具
・山中漆器・・・・・・ 盆、茶托、茶道具、樹脂製品

慶事などの蒔絵図案について

婚礼などおめでたい時に使用する御道具に描かれる蒔絵図案

1 松竹梅(歳寒の三友)蒔絵

寒さ厳しい時期にも松と竹は青々とした緑を保ち、梅は花を付けることから命の強さ、
繁栄を表しています。
松竹梅は一般的にグレードを表す時に使われることがありますが、松は平安、竹は室
町、梅は江戸と時代と共に加わっていきました。
また松竹梅に取りあわせるおめでたい図案として

松-鶴

竹-雀

梅-鶯 が描かれます。

2 鶴亀蒔絵

「鶴は千年」といわれるように長寿で夫婦仲が良く一生添い遂げるといわれています。
蒔絵ではたいてい二羽(双鶴)として描かれます。
「亀は万年」と鶴と共に長寿で吉祥の動物とされ、蒔絵図案では甲羅の後ろから長く伸
びる毛が描かれます。
※動物(生き物)を描く場合、つがいや奇数で表します。

2 鶴亀蒔絵

「鶴は千年」といわれるように長寿で夫婦仲が良く一生添い遂げるといわれています。
蒔絵ではたいてい二羽(双鶴)として描かれます。
「亀は万年」と鶴と共に長寿で吉祥の動物とされ、蒔絵図案では甲羅の後ろから長く伸
びる毛が描かれます。
※動物(生き物)を描く場合、つがいや奇数で表します。

3 蓬莱蒔絵

上記松竹梅に鶴亀、そして遠山を一緒に描いた蓬莱蒔絵があります。
昔の中国で仙人が住む不老長寿の地といわれた蓬莱山を表した図案です。

蓬莱蒔絵 屠蘇器01 蓬莱蒔絵 屠蘇器02
蓬莱蒔絵 屠蘇器03 蓬莱蒔絵 屠蘇器04 蓬莱蒔絵 屠蘇器
蓬莱蒔絵 広蓋01 蓬莱蒔絵 広蓋02
蓬莱蒔絵 広蓋

4 雪月花蒔絵

日本人が古来よりそれぞれの季節で一番美しいと愛でていた冬の雪、秋の月、春の花(花は以前梅を指しましたが江戸時代から桜となりました)を表し、次の季節にはまたそれらを観たいと想うことから一年の平穏無事を願う図案です。

達工房 「祝盃」雪月花蒔絵01 達工房 「祝盃」雪月花蒔絵02
達工房 「祝盃」雪月花蒔絵

5 その他 四君子蒔絵

四君子蒔絵 食籠君子とは徳・学識・礼儀などを備えた人
蘭・竹・菊・梅

蘭・・ ほのかな香り、気品が高い
竹・・ 寒い冬でも葉を落とさず真っ直ぐな姿
菊・・ 晩秋の寒さの中鮮やかに咲く
梅・・ 早春の雪の中、最初に花を咲かせる

四君子蒔絵 食籠

おめでたい蒔絵図案は「源氏物語」や「百人一首」等からの引用も多い。

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